待ち合わせの場所は市内の喫茶店でした。
夕方6時でしたが、
冬だったので日も暮れて、
店はさほど混んでいない様子でした。
駐車場に車を止めて、
車内でその人を待ちました。
待ち合わせの時間より少し早く、
1台の車が入って来ました。
たぶんこの人だろうか、
と車を降りると、
その人も車を降りて
ゆっくりと近づいてきました。
「〇〇さんですか。」
「はい。お忙しいところ
本当にすみません。」
「いえ。
そんなことはいいんです。
入りましょう。」
手短にあいさつをすませると、
私たちは店内に入りました。
私とその人は向かい合わせに座り、
子どもたちは通路をはさんだ隣の席に
座らせました。
「 何、飲まれますか。
お子さんにも・・・。」
メニューを渡され、
私はコーヒーを、
子どもたちにはオレンジジュースを
注文しました。
「 早速ですが、
その…
本当なんですか?」
「 はい。二人のメールのやりとりを
見つけてしまいました。
二人で頻繁に会っています。」
私はメールのコピーの束を
バッグから取り出し、
机の上に差し出しました。
ご主人は静かにそれを眺め、
ページをめくり、
次第に肩で息をしながら、
最後に大きなため息をつきました。
「 …ああ、
完全に…ですね…。」
「ですよね!これとか。
これも。これも。
(体の関係が)わかりますよね?
完全に!クロですよね!」
私は興奮してまくしたてましたが、
ご主人はそれ以上、
メールを見ようとしませんでした。
・・・。
「ぼくは、今、怒りというより、
悲しみしかないですね。
ただただ、悲しいです…。」
しばらくの間、
沈黙が流れました。
不倫撲滅ドットコム 美咲
最初から読みたい方はこちら
↓ ↓