~ ダンナの言い訳 ~
子どもたちを寝室に追いやると、
私たちは1階で話の続きをはじめました。
息苦しい。動悸がとまらない。
ぐわんぐわんと耳鳴りがする。
私は低い声で、もう一度たずねました。
「いつから?
…いつからそういう関係なの?」
ダンナはうつむいたまま、
ぼそぼそと答えました。
「いや、そういう関係っていうか…
去年、この人が
教育委員会に異動になって…。
それがすごくストレスで、
大変だったみたいで…。
だから一緒に飲みに行ったり、
グチを聞いてあげたり
するようになってさ…。」
「はぁ?私や子どもの話は聞かないくせに
なんで、よその女のグチ聞かなきゃ
いけないわけ?
しかも会いたいとか!何なの?」
「いや…なんとなく…。
リップサービスっていうか…。
ごめん…。
人助けでも してるつもりだった…。
本当にごめん…。」
「体の関係は?」
「ないない!そんなんじゃない!」
「そっか…。そうだよね…。」
「誤解させるようなことしてごめん。
もう会わないから。」
私は、まだ混乱する頭で、
とりあえずダンナの言葉を信じて
気持ちを落ち着かせました。
「わかった。じゃ、寝よっか。」
二人して寝室に戻ると、
子どもたちの眠るベッドに
それぞれもぐりこみました。
私たち家族は毎日こうして、
四人で並んで眠っていました。
私が1日のうちで いちばん好きな
幸せを感じるひととき…。
それが、
家族並んで眠る時間でした。