「 すみません・・・、
私、つい・・・いつも
〇〇さんを
頼ってしまって・・・。」
ゴリエは肩を落とし、小声で
そう言い訳をはじめました。
でも、仕事で頼ることと
男女の関係になることは
別ですよね?
私はカバンからファイルを取り出し、
事前に作成しておいた
慰謝料の請求書を
机の上に差し出しました。
ゴリエはその紙を見ると、
さらに動揺した様子でした。
慰謝料の請求額は、300万。
一般的な相場から比べると
少し高いかもしれませんが、
これは相手の立場や収入などにより
さまざまです。
社会的に優位な立場にある人なら
より高額でも払う可能性は高いでしょう。
この女も、何せ
教育委員会に勤める女です。
学生や働き出して間もない若い女性
ならともかく、
子どももいないアラフォー女で
しかも教師であり、
指導的な立場の人間なのですから、
これくらいはあたりまえです。
責任をとってもらいましょう。
放心状態になっているその女に
「 どうしました?
読みましょうか? 」と
私はその書面を読み上げはじめました。
「 ちょっ・・・ごめんなさい、
全然頭に入ってこないです 」
女はうろたえて、そんなようなことを
言っていました。
実際、頭がまっしろ、という雰囲気でした。
今ようやく、自分のしでかした事の
大きさに気づいたのでしょうか。
こうなるまで気づかなかった、
バカな女。
私は毅然として、
強い口調で、伝えました。
「300万という金額をお持ちかどうか
知りませんが、
親戚からかき集めてでも
払ってもらいます。
こちらの口座に
振り込みをお願いします。」
「お話は以上です。」
そう言って、
私は立ち上がりました。
本当は、思い切りひっぱたいてやりたかった。
いえ、それどころか、
顔面を拳で殴りつけ床に倒し、
踏みつけてやりたいくらいだった。
でも、できないのです。
やってしまったら、私が犯罪者です。
慰謝料を請求すること。
それだけが、私にできる
唯一の権利だったのです。
不倫撲滅ドットコム 美咲
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